ペットを自宅で見送ったあと、目や口が開いたままになっていたり、体が少しずつ硬くなってきたりすると、「このままでいいのかな」「何かしてあげた方がいいのかな」と迷うことがあります。
亡くなったあとの体には、体温の低下や筋肉の緩み、死後硬直などの変化が起こります。口や鼻、お尻周りから体液がにじんだり、尿や便が出たりすることもあります。
ただし、目や口をきれいに閉じたり、体を決まった姿勢に整えたりすることは必須ではありません。できる範囲でそっと整え、無理に体を動かさないことが大切です。
この記事では、ペットが亡くなったあとに起こり得る体の変化と、目・口・体勢・体液などを確認するときのポイントを整理します。
ペットが亡くなったあと体にはどんな変化が起こる?
亡くなったあとの体には、時間の経過とともにさまざまな変化が起こります。
体温が少しずつ下がり、いったん筋肉が緩んだあと、筋肉が硬くなる死後硬直が起こります。また、目や口が開いたままになったり、体液や尿・便が出たりする場合もあります。
こうした変化の進み方は、ペットの体格や亡くなる前の状態、周囲の温度などによって異なります。
「亡くなってから何時間後には必ずこうなる」と一律に決められるものではありません。
死後硬直が始まる時期には個体差がある
死後硬直は比較的早い段階から始まることがありますが、始まる時期や進み方には個体差があります。
そのため、「何時間以内に必ず手足を曲げなければならない」と考える必要はありません。
まだ体が柔らかく、無理なく動かせる場合は自然な姿勢に整えることができますが、すでに硬くなっている場合は無理に動かさないようにしましょう。
火葬までの安置や冷却についてはこちらで詳しく整理しています。
目が閉じないときはどうする?
ペットが亡くなったあと、目が開いたままになることがあります。
目が開いていることだけで、亡くなる前にどれだけ苦痛があったのかを判断することはできません。
気になる場合は、まぶたを閉じる方向へそっと整えてみても構いません。ただし、きれいに閉じないこともあります。
強く押したり、テープや接着剤などを使って無理に固定したりする必要はありません。
閉じない場合は、そのままでも問題ありません。見た目が気になるときは、顔の近くに柔らかい布をそっと掛けるなど、無理のない方法で整えることもできます。
口が開いたままのときはどうする?
亡くなったあと、口元が少し開いたままになることもあります。
目と同じように、必ずきれいに閉じなければならないものではありません。
まだ口元が自然に動く場合は、閉じる方向へそっと整える程度にします。
すでに硬くなっている場合や、力を入れないと閉じられない場合は、そのままにしておきましょう。
顎を強く縛ったり、閉じるまで押さえ続けたりするような処置は、家庭で無理に行う必要はありません。
体勢や手足はどう整える?
亡くなったあとに、必ずこの姿勢にしなければならないという共通の決まりはありません。
まだ体が柔らかく、抵抗なく動く場合は、手足を体の近くへ自然に寄せ、生前に眠っていたときのような姿勢に整えることができます。
横向きに寝かせる方法もありますが、横向きだけが正しい姿勢というわけではありません。
硬くなった手足は無理に曲げない
死後硬直が始まり、手足や関節が硬くなっている場合は、無理に曲げないようにしてください。
箱などに収まりにくい場合でも、力を加えて姿勢を変えようとせず、より大きな箱や安置場所を使う、火葬・霊園事業者へ相談するなどの方法を考えます。
時間の経過とともに硬直が緩むこともありますが、その時期も一律ではありません。
体液・尿・便が出ることはある?
亡くなったあと、口や鼻、お尻周りなどから体液がにじんだり、尿や便が出たりすることがあります。
死後に起こり得る体の変化の一つなので、体液や排泄物が見られること自体は、亡くなったあとに起こり得る変化です。
ペットシーツやタオルで外側から受ける
体液などが出た場合は、柔らかい布やガーゼで外側から優しく拭き取ります。
体の下には、ペットシーツや吸水シート、タオルなどを敷いておくと、体液や排泄物を受けやすくなります。
汚れたシーツやタオルは、必要に応じて新しいものへ交換します。
鼻や口、お尻周りの奥へ綿やガーゼを押し込んだり、腹部を押して尿や便を出そうとしたりするような処置は、家庭で無理に行わないようにしましょう。
量が多いときや状態が気になるときは相談する
拭いても対応できないほど体液が多い場合や、大量の出血、強い異臭、著しい膨らみや変色などが見られる場合は、一般的な死後変化と自己判断せず、動物病院や火葬・霊園事業者へ相談してください。
体を拭いたり毛並みを整えたりしてもいい?
体の汚れが気になる場合は、柔らかい布やガーゼ、固く絞ったタオルなどで、汚れた部分をそっと拭くことができます。
目元や口元をきれいにしたり、生前使っていたブラシなどで毛並みを整えたりすることもできます。
ただし、こうした身支度は必ずしなければならないものではありません。
きれいに整えようとして無理をする必要はなく、できる範囲で構いません。
全身を水洗いする必要はない
家庭で全身をシャンプーしたり、大量の水を使って洗ったりする方法については、一般的に勧められるものではありません。
必要な部分だけを軽く湿らせた布で拭き、水分が多く残らないようにしておく程度にしましょう。
体の下には何を敷けばいい?
体液や排泄物が出る可能性に備えて、体の下には吸水できるものを敷いておくと安心です。
ペットシーツや吸水シートなどを下に敷き、その上にタオルや柔らかい布を重ねる方法があります。
専用の商品を必ず用意する必要はありません。自宅にある清潔なタオルや吸水しやすいものでも対応できます。
汚れた場合に交換しやすいよう、予備のタオルやシーツも用意しておくとよいでしょう。
保冷剤を使う位置や冷却するときのポイントはこちらで確認できます。
首輪や服は外した方がいい?
安置している間、首輪や服を必ず外さなければならないという共通の決まりは確認されていません。
締め付けが強い、濡れている、汚れているといった場合は、無理なく外せる範囲で外したり交換したりする方法があります。
一方で、火葬するときに首輪や服をそのまま入れられるかどうかは別の問題です。
金属や素材によって火葬できないものもあり、施設や火葬設備によって条件が異なります。火葬前には依頼先へ確認してください。
火葬時に一緒に入れられるものについてはこちらで詳しく整理しています。
体を移動するときは無理をしない
亡くなったあと、すぐに箱や棺へ移さなければならないわけではありません。
使い慣れた毛布やタオルの上など、安定して安置できる場所を使うこともできます。
移動するときは、頭や首、胴体を支えながら急に持ち上げないようにします。
大型犬は一人で無理に運ばない
大型犬の場合は、体重があるため一人で無理に抱えないようにしましょう。
丈夫なバスタオルやシーツなどを体の下に通し、複数人で支えて移動する方法があります。
安全に移動できない場合は、訪問火葬や搬送に対応している事業者へ相談することも選択肢です。
先に動物病院へ相談した方がよいケース
亡くなったあとの体を整える前に、動物病院などへ相談した方がよい場合もあります。
本当に亡くなっているか判断できない場合
呼吸や反応が弱く、本当に亡くなっているのか判断できない場合は、体を整えることよりも動物病院への連絡を優先してください。
一つの様子だけで死亡を判断せず、少しでも生存している可能性がある場合は専門家へ相談します。
自宅で亡くなったとき、動物病院へ連絡するか迷った場合はこちらも参考にしてください。
感染症が疑われる場合
感染症で治療していた場合や、人にも感染する病気が疑われる場合は、通常の清拭をそのまま行わず、まず主治医へ相談してください。
体液や排泄物へ素手で触れることを避け、必要に応じて手袋やマスクを使い、接触したあとは手を洗います。
火葬や搬送を依頼するときも、感染症が分かっている、または疑われている場合は事前に伝えておきましょう。
原因不明の急死で死因を確認したい場合
突然亡くなり、死因を詳しく調べたい場合は、火葬する前にかかりつけの動物病院へ相談してください。
病理解剖などの死後検査を希望する場合、受け入れ先によって保存や搬送方法が決められていることがあります。
自己判断で体を洗ったり、冷凍したり、火葬したりする前に、主治医や受け入れ先の指示を確認することが大切です。
事故や毒物、虐待などが疑われる場合も、体や周囲を片付ける前に、動物病院や自治体、必要に応じて警察などへ相談してください。
よくある質問
ペットが亡くなったあと目が閉じないのはおかしいですか?
亡くなったあと、目が開いたままになることはあります。目の開閉だけで、亡くなる前の苦痛の程度を判断することはできません。気になる場合はそっとまぶたを整えても構いませんが、無理に閉じる必要はありません。
口が開いたままでも問題ありませんか?
口元が少し開いたままになることもあります。自然に動く場合はそっと整えることができますが、強く押したり縛ったりして閉じる必要はありません。
手足は曲げておいた方がいいですか?
体がまだ柔らかく、抵抗なく動く場合は、手足を体の近くへ自然に寄せても構いません。すでに硬くなっている場合は、無理に曲げないようにしてください。
死後硬直はいつ始まりますか?
比較的早い段階から始まることがありますが、体格や環境、亡くなる前の状態などによって異なります。「死亡後○時間」と一律に決めることはできません。
鼻や口から体液が出ることはありますか?
亡くなったあと、鼻や口、お尻周りなどから体液がにじむことがあります。柔らかい布やガーゼで外側から拭き、体の下にはペットシーツやタオルなどを敷いて対応します。
尿や便が出てもおかしくありませんか?
亡くなったあとに尿や便が出ることもあります。少量であれば吸水材などで対応できますが、量が多い場合や強い異臭、大量出血などがある場合は専門家へ相談してください。
体を濡れタオルで拭いてもいいですか?
汚れた部分を、軽く湿らせて固く絞った柔らかい布でそっと拭くことができます。大量の水を使った全身洗浄は避けましょう。
体の下にペットシーツを敷いてもいいですか?
体液や排泄物への備えとして、ペットシーツや吸水シートを敷く方法があります。その上にタオルなどを重ねて使うこともできます。
まとめ
ペットが亡くなったあと、目や口が開いたままになったり、体が硬くなったり、体液や尿・便が出たりすることがあります。
体がまだ柔らかければ、手足を自然な寝姿に近づけることができますが、硬くなっている場合は無理に動かさないようにしましょう。
目や口を完全に閉じたり、体をきれいに整えたりすることは必須ではありません。汚れが気になる部分を柔らかい布でそっと拭き、体の下にタオルやペットシーツを敷く程度でも構いません。
感染症が疑われる場合や、原因不明の急死で死因を確認したい場合、大量の出血や体液など気になる変化がある場合は、自己判断で処置を進めず動物病院などへ相談してください。
できる範囲で静かに整えながら、その子と過ごす時間を大切にしてください。